滋賀の文化振興施策 5 取り組みの方向
滋賀らしい文化創造の取り組みの方向について、滋賀の独自性・特色に照らして重点的に推進していく事項を以下に示します。
文化創造のステージの広がり(個人→地域→世界)や人々の欲求の高まり(自己の内面の充実から他人や社会への貢献へ)に着目し、主として個人の表現の場である芸術文化の創造と発信から始めて、伝統文化の継承、生活や産業の新しいスタイルの創造、文化交流の拡大、最後に全てに共通する土壌としての文化を育む環境づくり、といった流れで整理しました。これらの項目は、本来、それぞれが個別に語られるものではなく、お互いが相まってこそ滋賀らしい文化が創造されていくものと考えます。
なお、各項目の内容ができるだけわかりやすくイメージできるように、また、県民一人ひとりが実践に向けて一歩を踏み出すきっかけとするために、県民や団体の取り組みを中心にいくつかの事例を紹介します。
(1) 湖国発の芸術文化の創造と発信
人々の感性や創造性、自己表現力などを高め、お互いのコミュニケーションを深めるうえで基本となる芸術文化の振興・充実に努めます。
[1] 芸術文化に親しむ環境づくり
舞台芸術や美術、文芸などの芸術文化が生活の中に根付いていくためには、それを鑑賞し楽しむことのできる感性が非常に大切であり、文化を楽しむ人々がたくさんいることが文化意識を刺激し内面を充実させ、さらには新しい創造につながっていきます。
そこで、国内はもとより海外の多様な芸術文化に触れる機会の拡充に努めます。そのためには、さまざまな文化施設を活かしたソフト面の事業展開を充実させる必要があります。びわ湖ホールをはじめ各文化ホールにおいて、今後とも事業運営に一層の創意工夫をこらし、一人でも多くの人々に感動体験を共有していただけるよう努めていきます。
県民の文化活動の成果発表と、芸術文化鑑賞の機会の提供のため、毎年、県芸術文化祭を開催していますが、今後とも、県民の文化ニーズをしっかりと把握し、県民が意欲的に練習、創作活動を行うなど、日頃の活動の成果を発表することのできる機会の充実を図ります。
また、全国や世界に向けての発信力を高めるため、紙面による情報提供に加え、インターネットなどさまざまな情報媒体を積極的に活用していきます。
■取り組み事例
- NPOによる芸術文化の情報発信や公演の企画、ホールのプロデュース作品の上演
- 子ども対象の鑑賞事業の積極的な展開や学校への出前公演など、公立文化ホールのユニークな取り組み
- びわ湖ホールにおけるプロデュースオペラや県民オペラ、専属声楽アンサンブルの定期公演
- 「りっぷる淡海」ほか全国向けの情報メディアやインターネットの活用
NPOによるコンサートの制作・上演
[2] 芸術文化創造の基盤づくり
本県では、1970年代後半以降、文化施設の整備が進められた結果、県民が身近で優れた芸術文化を鑑賞したり、創作活動を行えるような環境(基盤整備)の面では、全国的に見ても非常に高い水準になっています。その特徴の一つは、県立の文化ホールが各圏域ごとに整備されていることですが、利用者のニーズを踏まえた運営の活性化が大きな課題となっています。
そこで、県民の文化活動に対する相談機能やコーディネート機能、さらには職員の専門能力を高めるため、各ホールにおいて地域や施設の特性に応じた文化事業に積極的に取り組むとともに、地域住民とともに館の運営や住民参画型事業を展開していけるような環境を整えていきます。
人材の育成という点では、芸術系大学の開学や県内高等学校における芸術専門学科の開設などにより、創造活動を担う人材が年々着実に増加していることから、県・市町村・文化団体等が連携して活動の場の提供に努めます。さらに、県民の創造活動を支える指導者・専門家・サポーター等の育成・確保に努めるとともに、県民との交流を促していきます。
琵琶湖をはじめとする題材の豊富さゆえに、かつては滋賀を舞台にした数多くの芸術作品が創作されましたが、最近では滋賀をテーマにした全国に発信しうるような芸術作品が少なくなっています。今後は、芸術家が恵まれた題材を使って多彩な作品を創作することを触発するような工夫に努めます。
県内企業においては、これまでも企業メセナという形で地域での芸術文化活動への支援が行われており、今後も、その社会的役割はますます高 まるものと考えられますので、県が企業と文化団体を結ぶ架け橋として一定の 役割を果たすよう努めます。
■取り組み事例
- 創作ミュージカルなど、公立文化ホールにおける市民参加の舞台づくり
- 市民参画による文化ホールの自主事業企画・運営
- 美術館ボランティアの経験を地域に活かし、学校と文化施設の連携による美術教育地域の文化活動を企業や個人が支援する企業メセナや市民メセナの取り組み
小学校での美術ボランティア活動
[3] 異なるものの出会いによる新しい芸術文化の創造
さまざまな要素の多様な出会い・交流による相互刺激を通して、新たな文化の発展の道が開かれます。
芸術文化の分野においては、異なるジャンルの出会いにより新しい文化が芽生えつつありますが、さらに芸術と環境・福祉・産業などとの間においても、さまざまな交流が志向され始めています。
本県では、「水と人間との関係」をテーマとして、環境問題を深く掘り下げる芸術文化活動が活発に行われるようになっています。こうした活動は、本県の目指す自然と人との共生の理念をさまざまな形の芸術で表現しようとするもので、単なる芸術の一分野にとどまらず、地域のあり方や人の生き方を探る手法の一つとして一層の取り組みが望まれます。
今後とも、さまざまなものの出会い・融合を通じて新しい芸術文化を創造しようとする動きに注目し、その芽を伸ばすよう努めます。
図書館や公民館、博物館、美術館などにおいては、人々が新しい出会いや交流を体験できる場としての活用を図っていきます。
取り組み事例
- 水と暮らしへの思いを込め環境をテーマにした狂言の創作
- 商店街における空き店舗を利用した環境と造形の関わりのイベント
- 琵琶湖保全を訴えたフルート楽団と写真家による共演
- 図書館におけるミニコンサートや映画会などの開催
環境創作狂言の上演
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