滋賀の文化振興施策   5 取り組みの方向

(2) 先人に培われた近江の伝統文化の未来への継承

 地域の魅力的なストーリーづくりのために、先人に培われてきた近江の歴史や伝統文化を現代的視点から見つめ直すとともに、未来世代を意識した新しい視点で継承していきます。

[1] 近江の歴史の掘り起こしと積極活用

 本県では、数多くの歴史文化遺産が、地域の人々によって大切に守り伝えられています。これらの優れた文化財や近代化遺産は、滋賀の文化を支える基盤であり、同時に県民共有の財産でもあり、全国に誇りうる貴重な地域資源と言えます。しかし、その質・量ともに誇るべきものが多いにもかかわらず、知名度は必ずしも高いとは言えません。
  そこで、こうした歴史文化資源を適正に保存・管理するだけではなく、そこに光をあて、テーマ性やストーリー性を持たせて整理、顕在化を図ります。さらに、市町村や関係団体と連携して総合的な整備を図る「近江歴史回廊構想」を推進することにより、個性的な地域づくり・人づくりを展開し、次代に継承していきます。なお、インターネットで文化資源の真価をわかりや すく内外に発信し、生涯学習や観光開発に活かす取り組みも進めます。

■取り組み事例
  • 米原町番場地区における中世の山城を活かしたまちづくり
  • 北村季吟や雨森芳洲など地域の偉人の顕彰
  • 各地で活躍する観光ボランティアガイドや地域の語り部の活動
鎌刃城跡発掘調査
鎌刃城跡発掘調査

[2] 近江の伝統文化の未来への継承

 琵琶湖は、古くから人々の暮らしと深くかかわり、湖をめぐる独特の生活文化を創出してきました。中世以来の村落自治は、水を中心に結束力ある集落を形成し、地域ごとにさまざまな風俗・慣習・祭りなどが誕生しており、それらの伝承を通して地域の青少年の育成が図られてきました。
  地域の歴史や風土のなかで育まれた伝統工芸が今も各地に残されており、その中には芸術作品として高い評価を受けているものもあります。農村地域で育まれてきたわら細工や竹細工、い草細工などの手づくり技術等は、いわば「農の匠・技」ともいうべき素晴らしい伝統工芸です。
  こうした人々の独自の技術と地域の固有資源が結びついて産業に発展していったものが地場産業であり、伝統的な固有の文化を守り抜くことで地域の固有の価値を高めてきました。滋賀県は地場産業の宝庫でもあり、今後は、そこに新たな文化的要素を結びつけることにより、さらなる価値を創造し新しい分野を開拓していく必要があります。
  気候や風土に根ざした地域独自の食文化も受け継がれていますが、一方で、ふるさとの伝統の味を新たな地域特産品にするための活動も活発になってきています。
  こうした本県の特色ある民俗文化、伝統工芸、地場産業、伝統的な食文化等を魅力ある地域づくりに活かしながら未来に継承していくことが大切であるため、県民がこれらに接する機会を拡充し保存継承への機運を高めるとともに、これを受け継ぐ後継者の育成、さらには県内外へのPRに努めます。

■取り組み事例
  • 山東町柏原地区における「やいと」を活かしたまちづくり
  • 長浜曳山祭り〜囃子方に女性も参加しての盛り上がり〜
  • 野洲町小篠原地区に語り継がれた伝統ある雅楽を世界に発信する取り組み
  • 伝統技術を活かした新商品開発や販売に必要なデザイン活用方法の修得など、県内産地における新しい取り組み
  • 淡海ふるさとの味ネットワークなど、滋賀の伝統の味を地域特産品にする取り組み
中山道柏原宿の「やいと祭」
中山道柏原宿の「やいと祭」