滋賀の文化振興施策   5 取り組みの方向

(4) 自然と人を幸せにする産業の創出

 文化は、経済活動において高い付加価値を生み出す源泉となるなど、これからの経済発展を助長し、ひいては地域社会の活性化につながるものと考えます。また、バイオテクノロジーや環境科学の最先端では、技術の発達だけではなく、文化のあり方が大きく影響する時代になっています。
  心の豊かさが重視される時代にあっては、産業活動においても、その活動自体が一つの文化的価値の実現として、すなわち自然と人を幸せにするものとして社会の共感を得ることが望まれており、そうした観点で産業の創出・振興を図っていきます。

[1] 人間をより豊かにする新規成長産業の振興

 近江商人の経営理念「三方よし」の中の「世間よし」の発想は、今で言う事業活動を通じた社会貢献の考え方に通じるものと思われます。今日の産業活動は、より生活者や社会に目を向けた技術や製品を生み出す工夫が必要であり、豊かで潤いのある生活を実現し、地域社会の発展や文化の形成等に貢献することが今まで以上に求められています。
  こうした産業の代表例として、本県の場合、環境関連産業や健康福祉関連産業などがありますが、今後ともビジネスチャンスの拡大が期待されていることから、新規成長産業分野の創造をめざし、産学官の連携や異業種間交流等を進めます。
  最近、県内では、環境や福祉、子どもの健全育成等の分野において、サービスの対価を得ながら地域の課題に取り組むコミュニティビジネスの芽が見られるようになり、社会的な意義や自己実現を求める小規模ビジネスとして期待されています。今後、これらの活動の場がさらに広がり、県下に定着していくように機運の醸成を図ります。

■取り組み事例
びわ湖国際環境ビジネスメッセ
びわ湖国際環境ビジネスメッセ

[2] 農林水産業の価値の再評価と持続的な発展

 本県の農林水産業とその生産の場である農山漁村は、県民の生活を支える豊かな食料等を供給するという重要な役割を担うだけでなく、県土や自然環境の保全、良好な景観の形成、地域文化の伝承、健康・生きがい・交流機能など、多面的な役割を果たしています。また、農林水産業は自然の摂理に従い、昔からの経験と知恵が活かされる非常に創造的な産業と言えます。
  21世紀は、農林水産業が持つ、いわば文化的な役割・魅力が再評価される時代になるものと予想されますが、それらは健全で持続的な農林水産業の営みを通してはじめて発揮されるものです。
  このため、健康の源である「食」、生産の基となる「土」、いのちを育む「水」、そして生産と消費の主役である「人」の4つの元気を支える、魅力あふれる滋賀の農林水産業の発展を目指します。特に、自然に負荷をかけない「しがエコ農業」の推進や心やすらぐ田園空間(田園ミュージアム)の創造など、我が国の農業の進むべき方向について文化の視点から新しい提案を行い、全国に向けて発信します。

■取り組み事例
  • 健康な食へのこだわりをもち安全や環境に配慮した農業ビジネスの展開や、地域の中での農業を通じたふれあいの場づくり
  • 各地の農村女性グループによる起業や地元で生産された農産物を地元で消費するという地産地消の取り組み
  • 「環境こだわり農産物」認証制度の実施
  • 「食と農と環境を考える県民会議」の取り組み
湖北の農村女性起業グループの活動
湖北の農村女性起業グループの活動

[3] 観光交流の舞台づくり

 ものの豊かさよりも心の豊かさへと人々の意識が変化する中で、観光スタイルも変化しており、最近では、心の癒しや地域文化とのふれあい、エコツーリズムグリーンツーリズムなど、多様な文化的価値への関心が高まっています。
  観光振興は、県民と来訪者が交流することにより地域の魅力の新たな発見や再認識を促進するとともに、観光産業がさまざまな分野の業種との関わりの強い複合産業であることから、来訪者の増加によってすそ野の広い経済波及効果をもたらし、地域が持続的に発展する原動力の一つとして期待されています。
  本県は、琵琶湖を中心に自然・歴史・文化が織りなす比類のない風土を有しており、この滋賀の地でしか味わえない観光の魅力を創り出し、これをネックワーク化することより、滋賀の自然や歴史、文化等をより豊かにかつ美しく見せるとともに、次の世代に引き継いでいくことが大切です。
  「住んで良く、訪れて良し」の誰もが楽しむことができる観光まちづくりを進め、県民の健康と暮らしを支える貴重な資源を守り育てていくことを目標として、滋賀ならではの新たな観光の創造をめざします。特に、琵琶湖をはじめとする環境・自然体験観光、歴史・文化体験観光、健康をテーマとした観光、ふれあい交流型観光など、地域の文化的特性を存分に活かした観光振興施策を推進していきます。

■取り組み事例
  • 彦根キャッスルロードや五個荘のてんびんの里など、県内各地における観光まちづくり
  • 各地で活躍する観光ボランティアガイドの活動
  • 朽木の朝市など、特産品の開発・展開と観光とのタイアップ
五個荘のてんびんの里における観光展開
五個荘のてんびんの里における観光展開