滋賀の文化振興施策 5 取り組みの方向
(6) 滋賀らしい文化を育む環境づくり
日々の暮らしの中で文化を創造し、楽しんでいくために、私たちの生活環境そのものを文化的センスや感性豊かなものにしていくとともに、県民主体の地域づくりの土壌を育てていきます。
[1] 文化意識の醸成
県民一人ひとりが日常生活を通して文化に関心を持つことは、より豊かな文化が創造される素地になります。そこで、幼少期から文化を身近に感じ、楽しめるような機会の充実に努めるとともに、ふるさとを愛する心を育むための学習を進めます。特に、学校教育において、人間性豊かな子どもを育成するため、子ども自身が自ら気づく力を伸ばすことを基本におきながら、文化を大切にする意識を育て、文化を享受する力、文化を幅広く理解する力を高めていきます。
文化環境の充実を図るという点では、身近な文化施設としての図書館の整備が重要であることから、市町村立図書館の整備に対する支援を行うとともに、県立図書館と市町村立図書館とのネットワーク化を推進してきたところです。その結果、県民の図書館利用は飛躍的に増加し、全国トップクラスの水準になりましたが、今後とも、身近な学習機会の向上に努めていきます。
文化意識を育むという点では、美しさ、やさしさ、楽しさなどへの感性を育てる環境を地域から創り上げることが大切ですが、これまでは女性が中心にさまざまな文化活動やボランティア活動などへの積極的な参加を通して感性を育んできたと言えます。今後は、男性もともに、文化への関心を高め、自分の生き方を楽しみ、自発的な活動へとつながるよう環境を整えます。
日本列島のまんなかに位置する滋賀県には、古代から今日までさまざまな歴史を秘めた街道が切り拓かれ、いわば文化の交流点としての土壌が育まれてきましたが、最近では、都市化の進展により都市と農村の生活スタイルが混在し、相互に刺激し合う形となって独自の文化的土壌が形成されつつあります。今後とも、さまざまな交流を通して、県民が文化性豊かな生活やコミュニティのあり方について議論し、方向付けを行う場や機会をつくっていきます。
■取り組み事例
- 学校や公民館、図書館等におけるふるさと学習の充実
- 「湖国と文化」や「近江歴史回廊ガイドブック」など、郷土に関する出版物の発行
- 地域にまつわる埋もれた文化を掘り起こし、まちづくりに活かす地域学(地元学)の取り組み
「たぬき」にスポットを当てた信楽文化の探究
[2] 滋賀らしい風景づくり
滋賀の風景は、琵琶湖やこれを取り巻く山々・田園など水と緑がつくる自然的景観をはじめ、街道周辺の街並みや社寺・古い屋敷などの歴史的景観、人々の生活や産業活動により形づくられる社会的景観、祭りや行事などの暮らしの中の景観など、それぞれ個性ある景観から形成されているのが特色です。
とりわけ、琵琶湖は日本を代表する美しい風景を持つことで知られており、
「琵琶湖八景」や
「近江八景」として私たち滋賀県民の心の中に深く刻み込まれています。また、ヨシ原におけるかいつぶりやオオヨシキリのさえずりをはじめ、四季折々のいろいろな生物の声や風などの自然が奏でる音風景の宝庫でもあります。これらは、住む人と訪れる人にさまざまな穏やかな表情を見せ、心に感動ややすらぎを与えてくれるなど、かけがえのない文化的土壌となっています。
こうした滋賀固有の景観を、滋賀県民の誇り・大切な宝としてだけではなく、日本の原風景や日本人の心のふるさととして守り育て、次代に引き継いでいくことが大切です。
このため、「ふるさと滋賀の風景を守り育てる条例」や景観指針「淡海風景プラン」に基づき、琵琶湖を中心に豊かな生態系を持つ自然や風土に育まれてきた文化の魅力を存分に享受できるようなふるさと滋賀の風景づくり〜「水と緑とまちの景観回廊づくり」〜に取り組みます。
■取り組み事例
- 日本の棚田百選に指定されている高島町畑地区における「棚田オーナー制度」など、棚田や里山における景観保全活動
- ヨシ刈りなどのボランティア活動
- 甲良町北落地区における住民有志による民家の保存・再生など、各地で行われる町家や住民に親しまれた建物の再生と地域活動の拠点としての活用
- 土山町土山地区における魅力ある宿場の街並みの再生への取り組み
棚田オーナーによる田植え
[3] 新しい市民自治の動きへの支援
本県では、全国に先駆けた草の根の運動である「せっけん使用の県民運動」や「抱きしめてBIWAKO」の取り組みなど、県民みんなの手による運動が進められてきました。近年では、県内のさまざまな分野において、自発的なボランティア活動やNPO活動が活発に行われ、県民主体の地域づくりの土壌が育まれてきました。
こうした動きは、もともと自分たちの地域は自分たちでよくしたいという一人ひとりの思いから出発し、福祉や環境、まちづくりなど、さまざまなテーマを地域で考えようという動きに結びついてきました。その大きな特徴は、これまで主に行政が提供してきた公共サービスでは必ずしも効果的に提供できない多様で個別的なサービスを、県民が自主的・自発的に提供しようとするところにあります。この動きは、行政システムそのものを変えるような影響力を持つと同時に、新しい自治の可能性を持つものとして期待されています。
こうした新しい市民自治の土壌こそ文化創造の原動力であり、県はこれまでから活動の普及啓発や情報提供、交流の促進、活動の活性化、人材育成などの事業に取り組み、側面からの支援を行ってきましたが、今後はボランティアやNPOとの協働の推進など、取り組みの一層の充実に努めていきます。
■取り組み事例
- 甲良町のグラウンドワークなど、パートナーシップ型のまちづくり
- ボランティア活動などの価値を独自の通貨で換算し、支え合いの地域づくりをめざす「地域通貨」の取り組み
- NPOによる地域に密着した福祉事業(訪問介護、デイサービス、家事援助等)の展開
- 市町村域での市民活動支援センター設立の動き
- 湖国21世紀記念事業におけるさまざまな県民主体の事業展開
地域通貨「おうみ」の取り組み
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