ピアノというと、どのような印象を持たれるでしょうか。
黒くて荘厳な図体から、少し敷居の高い印象をお持ちの方も多いと思います。そして、「ピアノが弾ける人」に対しても、それだけでも一芸に秀でているように感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、ピアノを弾きこなすというのは難しいことです。専門の学部が存在し、専門家がいて世界的なコンクールだってあるのですから、それなりのことには違いありません。
ですが、考えてみてください。
ピアノの蓋を開ける、ずらっと並んだ88個の鍵盤を眺める、試しに一つ押してみる・・・これだけでも、一つの音が奏でられるのです。難しいことはありません。
例えば、右端の二つの鍵盤(何でも構いません)を交互に押してみます。もうこれだけで遠くの小鳥の鳴き声を表すことができます。次に左端の二つの鍵盤を交互に押してみます。なんだか地の底から悪魔がやって来るようなおどろおどろしい感じがしませんか。そう、このように、鍵盤を”押す”ことができれば誰にでも遊ぶことのできる楽器がピアノなのです。弦楽器や管楽器のように音を鳴らすことにはテクニックを必要としない、とても身近な楽器です。
音楽を演奏する上で往々にして登場するものが、「楽譜」です。ピアノでの演奏を敬遠する方の中には、「楽譜が読めないから」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、楽譜は楽曲を構成するための音や演奏方法を伝えるためのものですので、殊にクラシックの演奏には必要なものです。しかしながら、文字が読めないからといって話すことができないわけではないのと同じように、楽譜が読めないからと言って演奏できない訳ではありません。音楽は文字通り”音”を”楽しむ”ものですから、そのような概念に縛られる必要はないのです。
つまり、楽譜が読めないからといってピアノで演奏をすることができないということは決してありません。
ピアノを演奏したいと思ったとき、あなたが感じたままの高さのキーを、あなたが感じたままの強さで叩くだけでそれを実現することができてしまいます。試しに、譜面台にあなたのお気に入りの絵本を一冊置いてみてください。そのページに書かれている絵の風景はどんなものでしょう。そこにはどんな空気が漂っていますか?おいしい匂いがするでしょうか?思わずスキップしたくなるような雰囲気でしょうか?それとも悲しく重たい空気が流れているでしょうか。。。
いまあなたが感じたままの腕の重みを鍵盤にかけてみてください、そして、歩いたりスキップしたり転がったり、ちょっとリズミカルに叩いてみてください。どうでしょうか、なんだかこれだけで曲っぽく感じませんか。あなたの感じた世界を音にして発信できたのではないでしょうか。
そう、これがピアノの魅力です。老若男女問わず、誰にでも、感じたことを気軽に表現することができるツール、それがピアノなのです。それがCDのような演奏である必要はありません。
ぜひ、ピアノの蓋を開けてこの楽器に触れてみてください。その音を感じた時、それはきっとあなたをピアノの魅力の世界に引き込むきっかけとなるはずです。
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